blog病気診療所関係

防災訓練

9月29日の日曜日。堀川小学校にて医師会からの派遣医師として地域の防災訓練に参加しました。

そもそも『未曽有の大災害』が『自分の仕事が妨げられるほど範囲内で』起こると限局すると、まず経験できません(被災者になる可能性はさらに下がります)。最近はそういった災害が増えており、明日は我が身の可能性は上がってはいます。しかし、直後の衝撃的な報道とその後の限局的・断片的な報道では、湾岸戦争をテレビで見ている並に他人事です。現地にボランティアとして行っておられる方や被災者の方には大変失礼な言い方ではありますが、実際に現場に行っていないと以上は自分事としては感じられません。

これまで普通の病院勤務を続けてきた自分からすると、災害時の対応ってのは教科書と救急外来の延長くらいでしか考えられていないんですね。そして教科書レベルになるとトリアージ(体の状態的にヤバさの区分分けみたいなもの)がどうとか、バイタルサインやどんな症状がやばいとかの注意事項が書いてあります。さらに読み進めると、それらの病気や外傷に対してどんな治療がいるという話に移っていきます。

たぶん避難所の仮設診療所では山のように患者さんが来ます(知らんけど)。避難所に来ている人ってのはトリアージで言うとほとんどが緑の人です。その中で『避難所内で安静にしていればいい者』『避難所内で処置可能な者』『今は避難所で安静にしていればいいが目を離せない者』『すぐにでも病院での検査が必要な者』といった区分けし、黄色や赤の人を見つけるのがその場にいる医師の仕事になります。するとここでは先ほどの教科書の話は『区分けの必要性』と『赤、黄色の症状は何』くらいしか役に立ちません。

また、自分は本当の災害現場に行くことはありません(行ってもミイラ取りがミイラになる可能性が高いです)。皆と一緒に40歳前後の男性として力仕事に従事するか、せいぜい怪我人の対処をするくらいしかできません。正直トリアージなんて非情な判断ができる気もしません(必要なのはわかります)。なれば、ここでは教科書はより役に立てられそうにもありません。

大規模災害を想定した避難訓練に医者として参加したのは今回が初めてでした。で、その中で感じたこと・・・

・自分が被災した場合に、医師として何を優先すべきかを考える良い機会になった

・仮設診療所で訓練とはいえ医師役をやってみて、どんな人が来うるのかを知れた(中には考えもしなかった設定の人もいました)

・患者役の設定は、トリアージていうとほぼ緑、ごく一部に黄色が混じるくらい。避難所に限れば教科書はやはり不要(笑)

・避難所に自分が行けば、自分には避難以外の仕事が出来そう

・被災して仕事もできないのであれば、家の中さえ片付けば避難所に行って仕事ありそうや。

前夜は結婚式で午前様やしゆっくり寝さしてよ、副会長からの直電やから行くけどさ(ブツブツ)・・・とか、正直行きの電車ですら思っていました(笑)。

今年で5年目だそうで毎年参加者は増えているそうです。実際に役に立てる日が来ないことを祈りますが、来年も余程のことがなければ参加できればと思っています。

中川和也 拝