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私文 ~通勤電車の車窓から⑩ 線路 ~

いつも何気なく見ている線路。いや、下過ぎて、もはや車内からは見えないレベル。

また、生まれてこのかた40年、少なくとも素人目には変化のあるように見えないもの(木製が減ったくらい?)なので、もはや風景レベルで気にも止めなかった存在ですが、子供に質問されてふと考えました。

子供「なんで石がいっぱいあるの?」

少し考えて

私「電車が走った時のガタンゴトンの音を小さくするため(知らんけど)」

子供「なんで?」

私「大きい音なったらびっくりするやろ?」

子供「そっかぁ」

 

考えればある程度の答えはすぐに出ます。

大人に対して答えるなら「線路のはしごのようなモノの回りに細かい石をたくさん置いておいた方が、車両が走った時の衝撃を吸収できる」ひいては「線路が長持ちする」「周辺への騒音や震動対策」といったところでしょうか。

 

考えたことがなかったので、裏付けのためいろいろ調べて自分なりに考察してみることにしました。

はじめに、この記事では線路を構成する金属の2本の棒を【レール】、その下の横向きの石を【枕木】、回りに散らばっている細かい石を【バラスト】(名前は初めて知りました)とします。

線路の構造はシンプルです。レールと枕木は「梯子(はしご)」のような形状になっており、その下にバラストが敷き詰められています。

そして、当然ですが列車は重いです。どれくらい重いかというと、一般的には30-40tだそうです。これに人が乗ります。

私文 ~通勤電車の車窓から⑧ と見せかけて車内を見まわしてみて ~

平均60kgの人が150人乗っていると仮定して150×60kg=9000kg=9t。列車と人を合わせて1両あたり40‐50tの重量になります。都市同士をつなぐ車両では8‐10両編成くらいでしょうか。てことは10両編成がすれ違うときには一時的に1000t⁉もはや想像もつきません…とりあえずめちゃくちゃ重いようです。

 

これだけの重量物を支えるだけでもかなりの強度が必要です。ただ支えるだけなら線路が強ければ強いほどいいということになりますが、この上を車両が時速70-100km/hで走ります。強すぎるとひずみに耐えられずにレールが破損しますので、いろいろな事象に対応しながら、ある程度の遊びを作っておく必要があります。

 

梯子の強度は、縦棒と横棒がしっかり固定されていると仮定すると、縦枠は長さと幅、横枠は本数と間隔によって強度が変わります。つまり、梯子は、縦に長くなれば強度は落ちますが、横棒を均等にたくさん付けると強度は上がります。

そういえば、脊椎の手術でそんな話があったなぁ。脊椎の固定術の際は、横棒をほどほどに間引いておかないとインプラントの強さに骨が負けて固定した隣の骨が骨折するとかなんとか…当時は、「あ、そうなんや」と聞き流していましたが。あ、完全に脱線しました…

 

そこで、阪急電車の駅のホームから線路をよく見てみました。梯子のような構造でありながらも『枕木のくぼみにレールをかみ合わせボルトで固定する』というレールと枕木の間に少し遊びを持たせる構造になっています(梯子のような【溶接】に比べればですけど)。レールの下にバラストが敷き詰められています。車両の重量や走った衝撃などボルトにかかる負荷を細かい石で分散させているようです。また石を敷き詰めることで、風雪が土まで達しにくくし、地盤構造の変化が起こりにくくする効果もあるようです。

また、左右それぞれのレール間には、わずかに隙間があるそうです(小学館の図鑑に書いてありました)。これは、気温や湿度により、金属のサイズが変わるからだそうです(膨張したり縮んだり)。意識して電車のってみたらガタンゴトンの音は線路間の隙間を超える音のようです。夏と冬でも音が違うのかなぁ?

このバラスト構造にも欠点はあります。かかる力の方向でバラストがずれて場所による差が出来たり、車両同士のすれ違う風圧でバラストが飛んだりすることもあるそうです。ので定期的に点検しているようですが、結局石を敷きなおすくらいなので、安価なのとデメリットがそれほど大きくないため広く使われているようです。ただトンネルなどではバラストをひくメリットが小さくなるため(騒音問題が出にくい、基本点検は夜なので見えない)、バラストを敷かない区間もあるようです。そういえば地下鉄はない気がする。北急もなかったような…新御堂の間走っているからかな?両サイドの方がうるさそう(笑)

そして、レールと枕木を一体化させ、枕木を板状のコンクリート(枕木間の隙間を0)にして、強度を上げ切った線路の上を走っているのが新幹線です。当然バラストはありません。そういえば以前テレビで新幹線の線路はコントロールルームで破損などを完全に把握できるようにしていると聞いたことがあります。そら東海道新幹線だけでも500km以上ですからねぇ。小さなヒビやコンクリ内のヒビは目視では厳しいでしょう。

 

まとめ

  1.  線路について色々調べ、素人に毛が生えた程度には詳しくなった気がします。
  2.  バラストの存在理由は、「線路が長持ちする」「周辺への騒音や震動対策」「風雪対策」など。
  3.  子供の質問にはとりあえず嘘はついていなかった様子(よかった)。
  4.  バラストのある線路はある程度、レールと枕木の間にゆとりがある?(無い線路も見て回らなきゃ‼)

 

こんなところでしょうか。小学生の夏休みの自由研究レベルですが、ある程度格好はついたかな。

 

中川和也 拝