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肘部管症候群 前編

本年一発目のお話です(もう2月ですが)。

肘部管症候群にて利き腕の手術を受けた、ロッテの某コーチのお話です。ご本人のブログで年末に個人的なニュースとして、記事にしておられました。ロッテのコーチに就任後は毎週読んでいて、今期以降どうなるかずっと気になって毎週のように更新を待っていました。

①肘部管症候群て何??

尺骨神経がやられる代表的な病気です。尺骨神経とは手に行くメインの神経3本のうちの1本で、これがやられると、小指や薬指がしびれたり痛かったりします。さらに悪化すると、それらが伸ばせなくなったり、細かい事をする筋肉がやられて、細かいことがしにくくなったりします。

肘部管症候群とはその名の通りひじのあたりで神経がやられる病気です。尺骨神経は、ひじの骨の後ろ側で、骨の溝の中を通ります。ひじを曲げると神経を上下に引っ張る力がかかり、溝からはみ出ようとします。それを上からおさえる組織(靱帯)があって、その骨の溝と靱帯でできたトンネルが肘部管です。

ざっくりというと肘部管周囲で尺骨神経の症状が出ることをまとめて肘部管症候群と言います。

尺骨神経は結構浅いところを通ります。慣れれば皮膚の上から触れます。肘の後ろを何かの角でぶつけたら手がしびれたという経験は結構誰しもあるのではと思います。ひじの骨で挟まれて刺激された神経が尺骨神経です。

②原因

ざっくり2つのケースです。骨の変形があるケースとないケースです。変形性関節症や外傷後などによるひじの変形が原因で、トンネルが物理的に狭くなるケースと、数年から数十年にわたる使い過ぎで筋肉が固くなってしまったことで神経の可動性が落ちてしまった骨の変形を伴わないケースに分けられます。野球ひじは前者になります。内側の靱帯を痛め、さらに我慢すると軟骨がやられます。その結果ひじが伸びなくなったり、骨の変形を生じ、その変形した骨が肘部管内に張り出したり、ガングリオンが出来たりなどなど、様々なケースで神経がやられます。

③治療

初期であればストレッチなどで症状は緩和していきますが(特に変形の無いケースでは)、だんだん悪化するケースでは手術が必要です。ひじの変形がない場合は、固くなった靱帯を切るだけで済むケースもありますが、ひじが変形している場合は、たいてい肘部管を開き、神経に遊びを作るために内側の骨の前側に神経を移行します。後は神経をたどって狭くなっていそうなところをはがして、神経の動きを確認します。個人的なイメージでは、狭くなっていた所で長年圧迫された結果、内出血していたり蒼白になっています。術後は結構腫れるため、しばらくギプスで固定されます。

 

文章を構成しているうちにどんどん大作になったので今日のところはこのくらいで。今回は病気についてこんなんやで~といった話をしていきました。

次回は『なんでこんな記事を書いたか』を中心にお話していきます。

そんなところで、またお願いします。

中川和也 拝