オフシーズンのアスリートの手術シリーズの第三段です。このシリーズは年内に締めてしまいたかったのですがまだ3段目、あと二人います…キャンプまでには仕上げたい!!
第三段は東條投手です。シーズン終わった直後に、右足関節の手術(鏡視下右足関節後方遊離体切除術・鏡視下右足関節外側骨棘切除術及び外側靭帯修復術)を受けたようです。(公式HP参照: https://sp.marines.co.jp/news/detail/00008496.html)
投球再開まで6週間とのことなので年明け自主トレ開始でキャンプには間に合いますかね。東條投手は右投げのサイドスローの中継ぎ投手です。昨季のすべて中継ぎで59試合に登板し、防御率2.08ととんでもない数字を残した大黒柱です。オスナが取られ、ゲレーロもメジャーの招待選手になっていると報道されていたので、早々に復帰してもらわなければなりません(が焦って悪化されても困るし…)。
ここからはご本人に直接取材したりはしておらず、あくまで手術名から私が勝手に考察しているだけの記事です。真偽のほどは定かではありませんので引用/拡散などはしないでください。
またまた長い手術名(文字数にして39字‼)でかつ、3つも並んでいます。分解すると①鏡視下右足関節後方遊離体切除術 ②鏡視下右足関節外側骨棘切除術 及び ③外側靭帯修復術になります。
まずは足首の簡単な構造から…足首は骨だけみると3階建ての構造になっています。1階が踵骨(左図のI:しょうこつ 踵落としで使う固い骨)、2階が距骨(II:きょこつ 役割は緩衝材のイメージ)、3階が脛骨(III:けいこつ すねの骨)です。つまり、体重の衝撃を距骨で緩和して踵に伝える構造をしています。
また、足首の運動(足首直角を基準として、下向きの動きと反らす動き)の大半は脛骨と距骨の間(距腿関節)で行います。つまり、普段イメージするシンプルな足首の動き(真ん中図⇒右図)は、ほぼここの動きと言って差し支えありません。一方、距骨と踵骨の間(距踵関節)はいびつな形をしています。きれいな動きはせず、距腿関節ではできない最後のもうひと踏ん張りの動きを賄ってくれています(背伸びの時のもうひと踏ん張りとか。逆にアキレス腱のばしの最後のひと押しとか)。
さて、手術について
その前に①と②が分かれている理由から入ります。関節鏡で足関節(及びその周囲)を見る方法は、ざっくり前からのアプローチと後ろからのアプローチがあります。①は後ろから、②は前からカメラを挿入する手術です。
①鏡視下右足関節後方遊離体切除術(左図赤←)
これは関節内ではなく、関節の後ろ側のスペースに対する処置です(左図 後方からの斜線あたりのエリア)。そこにある余剰骨である三角骨や遊離した骨棘や滑膜などを取ったり洗い流す処置を行います。
②鏡視下右足関節外側骨棘切除術(左図赤→)
距腿関節に対する一般的なアプローチです。これも関節内の滑膜や前方に出来た骨棘を取る手術に使います。
③外側靭帯修復術
おそらく捻挫が癖になっているのかと思います。
捻挫とは靭帯損傷のことで、新鮮な靭帯損傷は自然と治ります(だから捻挫はナメられる)が、傷ついた靭帯でスポーツを行うことで、靭帯が伸びて治ったりちぎれて安定したりします。靭帯は関節の安定性のために存在するので、そうなった靭帯は回りの筋力でカバーすることになります。
その靭帯は結構浅いところにあり、それも関節鏡を入れる皮切を少し外側に広げて縫いに行く感じでしょうか?
さて、ここからさらに推理です。①-③の優先順位はどれ?です。
実は①、②は術後歩いたりするのはそれほど時間がかかりません。よほど無理しなければ①、②単発なら1-2週間、両方で2-3週間くらいでほぼ日常生活には差し支えなくなりスポーツ復帰は1ヶ月くらいと思います。ただ、③はサポーターを付けての歩行ですら術後2‐4週間くらい(?)は許されないと思います。そこから歩く練習をして6週間で復帰って感じだと思います。なんせ右足は投げる時の軸足ですので片脚でしっかり踏ん張る足ですのでね。①②でも1ヶ月くらいはかかるのであれば、もう2週間延長して③もくらいの感じなんじゃないかなと勝手に妄想しています。③は筋力でカバーできてしまうので③だけで6週間投球禁止はたぶんアスリートは余程でない限りやりたがらないのではないでしょうかね?
最後にもう一度、この記事は個人の推察です。真偽のほどは定かではありませんので引用/拡散などはしないでください。
とにかくキャンプでは元気に投げているとうれしいですね。と思っていたら年始から早々に石川と自主練をするニュースが入ってきてうれしい限りです。
中川和也 拝