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私文~アスリートのケガ 膝蓋骨骨折~

またショックなニュース、藤原選手が3/10の自打球で右膝蓋骨骨折とのことです。

膝蓋骨とは、通称「お皿」と言われる骨で、膝がしらに皮膚越しに触ることのできるドーム状の骨です。手術するほどではない程度の骨折なら、当院でもたびたび来られるくらいありふれた骨折です。

受傷機転でもっとも多いのは、膝を曲げた姿勢で直接お皿に強い力がかかった時です。例えば「ある程度勢い良く前に転倒し膝が曲がって地面などについた」時です。

その働きは体に支える骨ではなく、大腿四頭筋(ふとももの前)の力を下腿に伝えるための中継地点のような骨です。大腿四頭筋は、走るなどのブレーキや方向転換、ジャンプの着地時の衝撃を緩和するため、中腰をキープするために使う筋です。

なので、家事を除くと日常生活レベルでは、立ち上がりや座り下りるときなどくらいしか中腰の姿勢にはあまり使わないので、そこを乗り切る筋力があれば「骨折」の病名の割にはなんとかなる部位です。実際受傷翌日、翌々日に来院される方もよくおられます。

さて、アスリートの話。手術の話はないのでずれのほぼないレベルの骨折と思います(膝蓋骨骨折は、レントゲン一枚で概ね治療方針が決まります)。

反対の脚があるので、立ち座りレベルは固定さえしていればたぶん問題ないと思います。むしろ力がありすぎるから慣れるまでは歩く方がしんどいかも?どちらにしても日常レベルではすぐに慣れると思います。

一方骨癒合にはやはり1ヶ月はかかると思うので、散歩、軽いジョギングレベル、軽いバッティングはそれまでにできるようになると思います。

なので、打撃はかなり早いと思います。軸足でもなく、それほど曲げないので。また走塁もある程度なら戻れると思いますが、スライディングやストップで無理はさせにくいので、出塁したら代走でしょうか。打撃の感覚を維持する目的でDH専門での二軍復帰は意外と早いかも。

しかし、外野守備ではその筋肉は当然、「打球が来るまで待つ姿勢を保持」「打球の落下点で止まる」「投げる時の前足(左投げなので)」など、結構色々な場面で使います。一軍復帰は、交流戦くらいかな?早ければDHで、五月の連休くらいでしょうか。

シーズンは長いです。ムリして早く復帰、疲労がたまった後半戦でまた何らかの故障にもつながりますので、疲れを貯めないようにシーズンを乗りきってください。

中川和也 拝