衝撃でした。
2/21の楽天との練習試合のこと。いつも通りスポナビで結果を確認していて気になった結果。
3回から二番手で登板の本前投手です。
3回は被安打1で抑えました。
ところが4回に先頭から岡島、島内に連打、大地への初球で暴投⇒交代なので、監督のお怒りかと思いました。
深夜のニュースで、タイトルの診断での降板と知りビックリしました。うーん、今季も先発陣が大変だ…
さてここからは、ボール投げるだけで何で腕の骨が折れるねん?というお話です。
上腕骨は長幹骨(マンガなどで犬が咥えている絵が描かれている時のような形状をした骨)に含まれます。一般にそういう形状の骨は、ねじる力(トルク)には比較的弱い特性があります。
で、上腕骨にトルクをかけるには、肩を動かないよう固定にして(支点)、肘を曲げた状態でねじります(力点)。すると骨の真ん中にねじる力がかかります(作用点)。骨の耐久力を越えると斜め~螺旋状に折れます。
高エネルギー外傷(交通事故やスキーや自転車勢い良く転倒など)だけではなく、スポーツの中でもまれに起こり得ます。教科書には「腕相撲」「投球」などと書かれてあります。経験で言うと前者は、何度か手術の経験がありますが、後者は大柄の男性一名(元投手、10年ぶりの草野球で受傷)しか見たことがありません。
腕相撲は肩に力を入れ、肘を机に固定した姿勢になります。負ける時は、外旋を強制されます。その姿勢では外旋は、肩関節の可動域的に行きにくいので、上腕骨に強いトルクがかかります。成人後に久々に腕相撲をする場合は、負けた予行演習をして(腕相撲の姿勢で手の甲が机につくかどうか、どのあたりまで行けば負けた方がいいか)、安全性を確かめてから行った方が無難です。
ただ投球となると、肩はロックできても肘はフリーなので、よほどの力がないと折れないのではないかと思います。また中高生はまだ骨が柔らかく短いから折れにくいのかな?成人しても折れるほど投げられる力が出せる人は、トレーナーと病院が付いているから、普通のところにはあまり来ないのかな?と勝手に思っています。私が経験した方も、大柄(骨が長い方が折りやすい)、久々(肩甲帯の固さ)、パワーがある(元投手)などの悪条件が揃ったのではないかと推察できます(受傷前を見てないから推察ですが)
ここからは、不謹慎なのは承知の上でいち整形外科の立場で一言。術前と術後のレントゲン見たい‼️です。
このタイプの骨折は、スポーツ選手ならよほどでない限り手術が選択されます。手術方法は複数用意されますが、上腕骨って部位や折れ方によってすごいトリッキーな手術が必要になることがあり、治療法はかなり悩んだ経験があります。ましてやプロ野球投手の利き腕ですので、その制限も出てきます。
術前後写真2枚を見るだけで、「どういう考え」で「なぜこの治療法を選択したか」、などが見えできます。もう手術をする立場ではないので、見てどうもできません。今後の参考にもなりませんが、術式に苦労の多かった骨折なだけに興味はつきません。
さて、本前投手は、2019年の大卒育成1位で、支配下になってからも三歩進んで二歩下がるくらい、少しずつ先発の地位を築いてきた投手です。大卒6年目で今年は爪痕を残したいと思っていたはずだと思うので心中は計りしれません。が、焦るとフォームが確実に崩れます。ゆっくり治して帰ってきてください。
中川和也 拝