リハビリテーション科
リハビリテーション科って??
リハビリテーション科は外傷や病気からの社会復帰、家庭復帰、スポーツ復帰が早期からできるようにサポートするための診療科です。
当院では運動療法(個別のリハビリ)と物理療法(器械を用いてのリハビリ)にて治療を行っています。いずれも適応かどうかは医師の診察が必要です。
運動療法
当院は厚生労働省の定める施設基準で「運動器リハビリテーション(2)」を取得しております。適応になる疾患や治療が可能な期間などの制限があります。
また、介護認定を受けておられる方も当院での運動療法はできません。あらかじめご了承ください。(通常の診察や物理療法(電気治療など)は問題ありません。)
適応疾患
・骨折、靱帯損傷などの外傷の急性期や術後
保存療法(手術を必要としない治療)では、回復具合を見極めながら、患部への負荷が許容できる範囲でできるだけ早期から運動療法を行います。よってギプスを巻いている時期でも、必要があれば運動療法が始められます。
手術療法の場合も同様に、できるだけ早期からの運動療法が必要です。保存療法の外傷に比べ重症であることが多いので、運動療法や術後管理がより重要であるといわれています。最近では手術の翌日からリハビリを始める施設が増えています。他院での手術後や退院後の患者さんも受け入れています。当院からご紹介させていただいた方だけでなく、当院の通院歴のない方も大丈夫です(いずれの場合も主治医の情報提供書が必要です)。
保存療法の場合:受傷日から患部に負荷のかからない範囲での運動療法を行えます。が、受傷直後は痛みが強いので患部の炎症がひいた頃やギプスが取れた頃から始める場合が多いです。
・肩関節周囲炎(いわゆる四十肩、五十肩)
中年以降(とくに40-50代)に発生する、肩関節の痛みと動きの制限を伴う病気です。一般的に、急性期(炎症期)・慢性期(拘縮期)・回復期に分かれ、どの病期であっても個別の運動療法の適応になります。運動指導をしながら改善しない場合や特異的な症状が残る場合は、MRIなどの精密検査が必要になります。
または、改善の余地がなくなったタイミング(運動療法後はよくなるが、数日で元に戻る)です。
・変形性○○症(○○は 膝関節、腰椎、股関節、頚椎 など)
痛みがでる理由としては、大きく分けて二つの病態が考えられます。ひとつは、固い部分を使用することによって起こるきしむような痛み、もう一つは耐久度の下がった部位を使いすぎることでの炎症(関節炎、筋炎など)を起こすことでの痛み、大きくこの二つに分けられます。 前者は慢性疾患としての痛みですが、後者は耐久力以上の労作を日々繰り返す(痛いのを我慢し続ける)ことで、炎症を起こします。そのため、急性疾患の痛みととらえる事ができます。
当院では基本的には急性増悪の患者さんのみが適応になると考えています。
急性増悪の患者さんは、「元のレベルに戻すこと」、
「自身の関節の耐久度を体で覚えてもらうこと」、
「再度急性増悪を起こさないようなケアの仕方を覚えてもらうこと」が
大きな目標になります。
自宅退院された方で、家事や階段昇降、近所への外出、少し遠出など不安が残る方で主治医の許可が得られる場合はご相談ください。
ただし、介護認定を受けておられる方、遠方の方(徒歩、自転車圏外)はお受けしかねます。あらかじめご了承ください。
改善の余地がなくなったタイミング(運動療法後はよくなるが、数日で元に戻る)が終了時期と考えています。
物理療法
予約は必要ありませんので、ご自身のご都合に合わせて診療時間内でご来院ください。
各機器の詳しい内容はこちら
これまでの人生で膝やひじをすりむいたことの無い方はほとんどいない物として話を進めます。
1. 組織の治り方
すり傷の治り方を思い出してください(嫌ですけど)。
皮膚以外のイメージは皮膚と同様です。ただ皮膚の下なので見えませんが・・・
損傷された組織は、瘢痕組織という名の代用品に置き換わって修復されます。それが徐々に周りの組織になじみながら損傷した組織に近い状態に置き換わっていきます。
傷が深かったり化膿したり、血流の悪い場所だったり、ケロイド体質だと④が大きくなり、皮膚に近くなるまで1年以上かかる場合もあります。また、最近よく言われる湿潤療法(と言っても10年以上前ですが)、ではかさぶたはあまりできません。
①〜③の過程は靭帯損傷であれば3〜6週間、骨折なら4〜8週間程度が目安です。この間の治療で④が変わってきます。
2. そもそも骨・筋肉・靭帯・腱ってなに?
骨格について子供用のおもちゃのマジックアームで例えてみます。(あくまでイメージです)
マジックアームは人の手や指でハンドルを握りその力をアーム部分まで力を伝え、アーム部分で物をつかむおもちゃです。
マジックアームでいうと | 働き | |
---|---|---|
骨 | 本体 アーム部分 手の部分 | つっかえ棒 |
筋肉 | 人の手や指 | 動力 腱を引っ張って骨を動かす |
腱 | 手の力をアームに伝えるワイヤー | 両端は筋肉と骨、柔軟性のないひも状の繊維筋の力を骨に伝える |
靭帯 | アームの根本のネジ | 両隣は隣り合う骨、ほぼ柔軟性のない繊維、関節の安定性 |
関節 | アーム部左右のパーツの境目 | 伝える力の方向転換。骨以外の組織で安定している |
3. 外傷の大まかな治癒過程
外傷を負った場合、患部の機能は低下します。機能低下が許容範囲であれば、放っておいても時間とともに身体になじんでいきますが、許容範囲を超えると古傷(後遺症)として症状が残ります。外傷の重症度にもよりますが、一般的には受傷から半年を超えると、それ以上の機能回復は期待できないといわれています(下図、イメージです)。
※表はあくまでイメージです。
外傷の重症度、個々の体質、年齢などでも回復具合や期間は変わります。
古傷としての症状を減らすためにできることは、「患部に無理のない範囲での運動」と「患部の管理」を日々地道に続けることが重要です。
4.患部の管理について
ある程度治療が進むと(軽症で2-3週間、重症で4-6週間程度)、上肢でも下肢でも意外と使えます。ただ元通り使えるわけではありません。社会的にも加減してもらってきたり、遅れを取り戻したくなったりで、ついつい頑張ってしまう時期です。しかし、この時期は皮膚でいうところの②~③くらいの時期です。皮膚の傷も引っ張りすぎれば血が出ますし、使いすぎれば腫れます。この時期が長引けば見た目にも傷あとが残りやすくなります。
下肢だと歩きすぎる、上肢だと作業を続けるなど、治癒する前に使いすぎると患部が腫れます。腫れた部分をきちんとケアしないと翌日も腫れが残ります。それをさらに使うとさらに腫れ、悪循環になります。
しかし、使わなければ損傷していないところも含めどんどん固くなるので使わなければなりません。本当に難しい時期だと思います。だからこそ毎日のセルフケアが大事になります。
使いすぎて腫れが強ければ安静寄りに、それでも腫れが残るのならば翌日は仕事を加減するなどの対応が必要です。また、腫れていないのであれば運動寄りに管理しましょう。
具体的には安静寄りでは「しっかりアイシング」、「少し高いところにおいて寝る」、「その際に手や足の指を動かして腕や脚の血流を促してやる」(できれば1日2-3回程度こまめに)。運動寄りならば、関節の可動域を増やすため「入浴中などにストレッチをする」「いたくない範囲で患部に体重をかけてみる」などがそれにあたります。
総括 医師としての本音(個人の見解)