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私文~アスリートの病気 黄色靭帯骨化症~

今回は岩下大輝投手のお話です。

5月1日は印象的な試合でした。

まずひとつは、劇的な逆転勝ちです。

8回終わって1-3、9回に当然のように抑えの平野が登板するも、先頭の小川のエラー出塁から代打角中のタイムリー、そこからエラー2つと打線がつながり一気に5得点。こんな勝ちかた記憶にありません。

もうひとつは、その8回に登板したのが岩下でした。なので勝ち投手は岩下、2登板目での今季初勝利です。

これだけならラッキーだね、で終わりますが、実は昨季のオフに表題の「胸椎黄色靭帯骨化症」の手術を受けています(千葉ロッテの公式HPより)。

さて、「黄色靭帯骨化症」

分解すると、胸椎黄色靭帯が骨のように固くなる(骨化症)病気です。その名の通りで、原因不明の進行性の疾患で国の難病に指定されています。

積み木のように積まれた脊椎がずれないように支える組織で、脊椎には大きく3つの靭帯があります。その内の一つで脊髄の通るトンネルである脊柱管内で後側に裏打ちするように支えてくれています。なのでそれなりにしっかりした組織ですが、いくぶんの柔軟性もあります。

それが骨のように固くなります。それが一つの骨同士であったり、広範囲に渡る場合があります。進行性に分厚くなることもあれば、変わらず何年も経過する場合もあります。分厚くなると、場合によりその部位の

すると、初期だと隣の骨同士の動きが悪くなるので、なんとなく体が動かせにくくなります。そして、進行すると頸椎なら上下肢の、胸椎以下なら下肢の神経の症状が出てきます。

しかし胸椎はもともと可動性は少なく、日常生活レベルではほぼ困りません。投球動作になると全身の運動になるため幾分異常が出る?程度です。実際昨季も27試合に中継ぎで投げて防御率2.95とそこそこの成績です。それでもシーズン始めからちょっと調子悪そうやから調べてもらってこいと言う吉井さんはよく見てるんやなぁと感心します。

さて治療方針。通常この症状だと基本は経過観察です。手術適応になりうる理由はふたつ、「この半年で骨化が大きくなっている場合」と「大きくはなっていないが、患者本人の生活などを総合的に考え、手術に伴うメリット、デメリットを医者、本人間で十分に検討した上で希望した場合」です。

前者であれば、画像として目に見えているので踏み切り易いです。症状がそれほどでも1年後には下肢の症状が出ているかもしれません。なら今のうちにと医師側からはある程度積極的に提案しやすいし、患者本人側も受け入れやすいと思います。仕方ないと…

後者の場合が難しい。それがあることは画像でわかりますが、それにより投球に影響があると自信をもって言えないんですよね(あるとは思いますけどね)。また骨化した靭帯を切除するためには、背筋を切り骨の一部を切除する必要があります。それにより肋骨との関節の動きが悪くなったりの原因になり得ます。メリットとデメリットを秤にかけてどちらが上に来るかわかりません。

この難しい判断をした上での決断だったハズなんですよね。で、術後リハビリから投げられる体を作りのようやく開幕から1ヶ月遅れの登板です。巡り合わせもあるとは思いますが、復帰後も同じような力強い投球を見せ、8試合に登板し1失点と安定感も抜群です。

本日のブルペンデー、先発ではなく7、8回くらいに残しておきたいくらいでしたね。抑え以外で一番信用してる人が先発の傾向にあるので、そういうことなんでしょう。

澤村があれで、勝ってはいるけど負けそうなんで、試合が終わる前に上げてしまおう。でないと岩下主役の話ではなくなる。

十分な自主トレもできなかったでしょうが、安定感からどんどん投げてもらいたい、ジレンマですねぇ…今日の8回に居て欲しかった。

中川和也 拝