昨日の続きです。
整形外科医は一般的にがんが苦手です。『がん』と聞くと尻込みする整形外科医は多数います。自分も実際にがん患者さんというだけで一線を置いていました。でも実際にはがんと言われなければ普段通りの変形性腰椎症や関節症なんですよね。先入観てのは恐ろしいものです。
運動器(骨や筋肉など)を診る医者は整形外科医だけです。松下記念病院で整形外科だけをやっていれば気が付かなかったかもしれません。リハビリテーション科の医者をやっていて、内科で入院中の患者さんをたくさん診察させてもらう間に思うようになりました。偉そうなことを言うつもりはないですが、検査なんかせんでも、触るだけで分かるのは毎日四肢や人の動きを診ているからなんやなぁって。これと同じ系統の悩みをこの先生も『がん』というくくりの中で持っておられたので、初めて聞いた時点ですっと共感出来ました。
この問題を、整形外科やがんを診療する全ての科の医師に気付かせるために、この先生は全国を飛び回っておられます。昨日も書きましたが自分はこのあたりで布教活動をします。自分は整形外科医です。がんの治療はできません。どんながん種の患者さんであっても、初期から最期までできるだけ自分のやりたいことをやれるように補助することができれば・・・今のところ考えている自分の『がん診療』です。
最期に自分らしく生きられたと思える人が少しでも増えればいいなぁ。
中川和也 拝